脱モラトリアム奮闘記

モラトリアム脱出&ありたい姿を目指すブログ。「他人の記憶に残るようなアイディアを発信する」ことが本ブログのコンセプトです。

「少数意見の尊重」の本質に迫る!

  皆さんは「少数意見の尊重」という言葉を1度は聞いてことがあると思います。しかし、その定義について問われたとき、「これが少数意見の尊重だ!」とはっきりと答えることができますか?今回は一つ例題を挙げて、「少数意見の尊重の本質」に迫っていきたいと思います。

目次

 

 

1.例題

 

例題:  AさんとB,C,Dさんの4人は、一緒にご飯を食べに行くことになりました。お店の候補として、焼肉屋と串カツ屋の2つが挙がりました。その中でA,B,Cさんは焼肉屋、Dさんは串カツ屋が良いとなりました。ここで両者の意見に耳を傾けるため、焼肉派と串カツ派で話し合いをし、その後多数決を行うことにしました。多数決の結果、焼肉屋3票(A,B,C)に対し、串カツ屋1票(D)で焼肉屋に決まりました。

さて、問題です。あなたはこれで「少数意見を尊重した」と思いますか?していないと思った場合、どうすれば「少数意見を尊重した」ことになると思いますか?

 

※ただし、焼肉と串カツ両方を食べられるような店を選ぶなどの答えは議論の本質から外れてしまうため、「なし」でお願いします。

 

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結論から言うと、私はこれだけでは少数意見を尊重したことにはならないと考えている。

ここで「え!?でもちゃんと少数派の意見に耳を傾けた結果だから、尊重したことになるんじゃない?」と思った人もいるだろう。正確には、耳を傾けることは必須ではあるが、それだけでは不十分だという表現の方が正しい。

ではどうすれば、少数意見の尊重をしたことになるのだろうか?

 

2.そもそも少数意見の尊重って何だ?

 

私の解答を示す前に、「少数意見の尊重」とはそもそも何かについて考えて頂きたい。

私の現地点での見解では、少数意見の尊重には以下の2つの条件を同時に満たすことだと考えている。

 

①少数派の意見に耳を傾けた上で多数決をする。

②多数決した後も、それで終わりにしない。多数決の原理が破綻しない範囲で、少数派を最大限配慮する。

 

 

②の赤字の部分はやや抽象的なので、さっきの例題に対するダメな回答例を2つ挙げつつ、説明しようと思う。

 

ダメな回答例その1「多数派からDさんにメリットがある条件を提示すること。例えば、次回行くときはDさんの行きたい店にするなど。」

 

ダメな回答例その2「Dさんからこれなら焼肉屋に行っていい条件を提示してもらい、その条件に多数派は従うこと」

 

 

これらの回答は一見Dさんの意見を尊重しているように見える。一体どこがいけないのだろうか?

 

まずダメな回答例その1に関して、ダメな理由は「Dさんの意思が反映されていないからだ」多数派の提示する条件は彼らにとって都合が良いものであり、Dさんにとって魅力的な条件になるとは限らない。(もちろん、その条件でDさんが納得すれば、この限りではないが...)

 

 ダメな回答例その2に関しては、今度逆に「Dさんの意見を反映しすぎている」からダメなのだ。例えば、Dさんが「今回は焼肉屋でいいが、次から4人でどこか食べに行くときは私が行きたいところにする。その上でおごってもらう。」を条件とした場合が、それに当てはまる。この突飛な条件を多数派が譲歩して、受け入れるのはナンセンスである。何故ならそれは、多数決の原理そのものが破綻することを意味するからだ。

 

このように、少数意見を反映させすぎるのも、少数意見の尊重にはならないのである。

 

ここまでをまとめると、②の「多数決の原理が破綻しない範囲で、少数派を最大限配慮する。」には以下の意味合いが含まれている。

・少数意見の尊重には必ず少数派の意思が「決定事項」に反映されていること。

・そして少数の意見を反映する際には、多数決の原理が破綻しない程度にすること。

 



3.少数意見を尊重した回答例

ここまでで「少数意見の尊重」とは何かについて私なりの解釈を説明したので、最後にそれを例題の回答として落とし込んでみる。回答はフローチャートにまとめた。

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  この回答で大事なポイントはDさんに「選択権」を与えることにある。多数派が譲歩の条件を一方的に押し付けるより、選択肢をいくつか用意して、Dさんに選ばせた方が少数派の意思は反映されやすい。

 

 また、ダメな回答例その②を防ぐために、「Dさんの条件でOKか3人で多数決」を設けた。たとえここで1対2で可決になっても、ここでの少数派は「焼肉屋」に行けるため意思を無視したわけではないと言える。1対2で否決になった場合も同じだ。その後多数派の意見を反映した条件を提示するので、それで十分フォローできる。

 

  ここで疑問に思うのは、Dさんが③見送るを選んだ場合だ。これは少数意見を尊重してないのではないか?これに関して私は「最大限少数派を配慮した結果であるなら、しかたない」と思っている。

 実際、Dさんが③見送るを選ぶ前にいくつもの予防線をはった。その上でDさんが③を選んだ場合、その心境は「焼肉屋に行くくらいなら、今回は見送った方がましだ。」に近いだろう(※宗教上の理由で焼肉屋に行けないのであれば、話はべつだが...)。

 

 このように一見、③見送るという選択は良くない結末に思えるが、少数意見を全く無視した結果ではないのだ。

 

4.終わりに

 

意思決定に関する問題はなぜここまでややこしいのか?それはベストな答え(全会一致)がないからだ。だから、この手の問題ではベターな答えを探すことを前提としなければならない。

もちろん、私が示した回答も100%正しいわけではない。もっと他に良い方法があるのではないか?と思ったら、是非コメントをして頂きたい。

 

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